【短編】転校生
「ごめん・・・・」
いつもと違う学の声に何も言えなくなった。
沈黙が続く。
何?なんか急に私が悪者みたいじゃん・・・・
だって。あんなに軽く告白されて。
こっちは真剣に好きなのに。
学は軽すぎて・・・
あんな告白じゃ素直に喜べない。
「真希と一緒におるん楽しいから。真希も同じ気持ちかなってうぬぼれててん。ほんで告白したとき無理って言われても、素直になられへんだけかなって・・・・・でも俺の勘違いやったんやな。ごめん」
「あ・・・・」
学は私の手のバトンが入った籠を取ると倉庫から出る。
「俺と一緒におるの迷惑やろ?先行くわ。」
悲しそうな、学らしくない笑顔。
「まっ・・待って!」
ゆっくり振り返った学。
見たこともない優しい笑顔で。
「大丈夫やって。今だけ。グランドに真希が戻ってきたら普通に戻ってるから。だから10分そこで待ってて。」
こっちが呼び止めたのに。
学はそれだけ言うと走って行った。
何それ・・・・
自分は言いたいことだけ言って、人の話し聞かないし。
本気だったの?
私をスキって。
嬉しいはずなのに。
私もって素直に言いたいのに。
なんで言えないの?