君を忘れるその日まで。
「……これは……新手の嫌がらせなのかな……」
ジリジリと体温を上げようとしてくる太陽と、もはや騒音にしか聞こえないセミの鳴き声が、容赦なく俺たちに襲いかかってくる。
職員室からグラウンドに移動したから、さっきよりもかなり近い距離で野球部の声がする。
俺の前で黙々と草をむしる佐城さんも、そろそろ限界だというように顔を歪ませていた。
「なんで……私たちだけ、こんな仕打ちを受けるのかな………」
「こんな暑いなかで草むしり……先生の思考回路が理解できないね」
「同感……」
急に頼まれた草むしりのために用意をしているものなんて何もなくて。
俺たちは持っていた小さなハンカチを頭に乗せることで、かろうじて暑さをしのいでいた。
いや、本当はしのげているわけがなかった。