溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
第1章 シンデレラはガラスの高層ビルで
 なんとなくだけれど、居心地が悪い――雪代椿はそう思っていた。

(なんか、とってもポジションの高そうな方々がさっきからこっちを見てる気がするんだけど・・気のせい?)

 年齢的にも、会場内での立ち位置的にも、グループ会社各社の上のほうのポジションにいそうな面々が先ほどから椿にチラチラと視線を向けてくる、ように見えるのだ。

(わたし、なにかやったっけ?)

 今日はシンウォール・ホールディングスの合同入社式が行われる。椿もそれに参加すべく、ここにいた。

 銀座の一角にそびえ建つガラス張りの高層ビル、その一つにシンウォール・ホールディングスの本社があった。世界中に支店をもつ総合商社シンウォール商事を筆頭に据えるグループ会社だ。

 椿はこの春からシンウォール・ホールディングス傘下の一つであるラクビズという会社で働く。あらゆる角度から各業種のマーケティングを行っているマーケティング専門の会社だ。面接の時、現在はインバウンド調査が業務の多くを占めていると説明された。

 ビジネスにおいて情報は極めて重要だ。ラクビズは規模こそ大きくないが、ホールディングス内で頭角を現して活躍している優秀な人材が集結している精鋭部隊的な存在であると。

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