溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
「大丈夫。母さんを怒らせるような真似はしないよ」

『・・・・・・・・・…』

「おいおい、息子を信用してないの?」

『信用はしたいけど、男女の問題だけはいつどうなるかわからないから。本当だったら許さないけど・・責任は取る覚悟でしょうね?』

「もちろんだ」

 電話の向こうで二拍ほどの沈黙が起こるが、それはため息とともに破られた。

『あなたも椿ちゃんも大人だから。でも、どうして? 叔母さんと二人暮らしでしょう。わざわざ出るなんて。なにかあったの?』

「結婚するそうだよ、その叔母さんが。来年ね」

 まぁ! という声が大きく響いて真壁は少しスマートフォンを耳から離し、また近づける。

「叔母さんが出ていってしまったら、一人で住むのには広いし、ウチの会社に通うには何度か乗り換えないといけないし、だったら通勤の楽なところに引っ越そうと思ったらしい」

『家はどうするの?』

「処分するって。売って出た金は折半するそうだ」

『そう・・』

「これからは僕が傍でしっかりと見守っていくから心配しなくていいよ。だからうるさい父さんのほうは任せたからね」

 ふっと笑う吐息が聞こえ、真壁もつられて小さく笑みを深めた。

『あなたがそんなことを言うなんて意外だったわ。あの時はいくら言っても嫌がって顔を出さなかったのに』

「そういうお年頃だったんだよ」

 あらあら、と笑い声が聞こえてくる。

『お父さんのほうは心配しなくていいわ。反対なんてしないから』

「わかった。じゃあね」 


第1章 シンデレラはガラスの高層ビルで  終
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