溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
「では、こちらのダンボールから、どこに収納すればいいのか指示してください」

 そう言われ、椿は一瞬戸惑い、それから否定を口にした。

「自分でやりたいのですが、ダメなんでしょうか?」

「それはもちろんかまいませんが、引っ越しの依頼料金の中に、収納までの作業が入っておりますので、お客さまのお手を煩わせることはないのですけど」

「いえ、あれこれ考えながら片付けるのが好きなんです。自分でやりたいんですけど」

「でしたら、そのように」

 とはいえ、サービス内容の変更はできないので、収納サービス料金を今から除外することはできないと告げられる。それは真壁が了解した。

「その説明は最初に聞いているから大丈夫です。ありがとうございました」

「では、お引っ越し作業はこれで終了させていただきます。こちらにサインをお願いします」

 用紙に書かれている確認事項を一つずつ口頭で説明しながらレ点をつけていき、最後にそのペンを真壁に渡して、真壁がサインをする。これですべて完了し、彼らは引き上げていった。

「片付けなきゃ」

「出かけるけど」

「あ、行ってらっしゃい」

 すると真壁が笑い出した。

「社長?」

「出かけるのは椿も一緒。それから社外時の呼び方は〝匠〟だ。間違えないように」

 刹那に椿の顔が真っ赤に染まる。〝椿〟と呼ばれること、〝匠〟と呼ばないといけないこと。

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