チャラ男くんは天敵です!
君とあいつと。

朝から君とあいつと。

 「おはよーう!今日も可愛いね美月ちゃーん!」

 何が今日も可愛いね美月ちゃん、だ。

 こっちは朝から憂鬱な気分にさせられて、ストレスで顔が崩れそうだっつーの。

 そう思いながらも私は、にこりと微笑み挨拶を返す。

 「おはよう佐々木くん。」

 「うん!おはよーう!」

 佐々木 宇宙、学校のモテ男。

 チャラチャラしてて、まわりにはいっつも女の子がいる。

 そんでもって不良気味で、とろい子にはキツく当ってばっかりいる最ッッ低な奴。

 そんな最低で最悪な奴に、イラつきながらも笑顔で対応するとか、私ってば本当にいい子…。

 よっ、清楚系の鏡!

 心のなかで自分にパチパチと拍手していると、甘ったるい声が聞こえる。

 「佐々木くぅん。おはよぉっ。」

 で、出たな。

 私の苦手すぎる生き物、そう…ぶりっ子!

 佐々木のまわりはいつもこんな奴ばっかりだから、本当に無理。

 佐々木もぶりっ子も私から離れていてほしい。

 できることなら視界にも入れたくない。

 「あ、美月ちゃんもおはよぉ~。」

 その甘ったるい声で私の名前を呼ぶなーー!

 あんたは佐々木の名前でもずっと呼んでればいいのよ!

 「うん。おはよう。」

 私ってば、なんて勇敢なの……。

 朝から、佐々木とその取り巻きのぶりっ子という、ふたつの大きな壁に立ち向かうなんて……。

 ぶりっ子挨拶を返してすぐに、小走りで教室に向かった。
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