ウソツキチョコレート
十一月になってから、屋上に吹く風は一層冷たくなってきた。
ひゅうと木枯らしのような音をさせて、私達の間を過ぎていく。
「あ、私、もう帰ろうかな」
そう言うと、静かにこちらを向いたウソツキさん。
凝視するその視線の鋭さに私の心臓は鈍く音を立て、絡まる視線を外せない。
「なんで? 早くない?」
「……なんとなく」
立ちあがろうとすると、ぴっと引っ張られる。
ウソツキさんが私の制服の肘のところをつまんでいた。
「なんで?」
再度、同じ質問をされる。
まっすぐ、全部見透かすような目が私を射抜く。
「…………」
すると、自分でも気付かないほど急に、ポロッと片目からしずくが落ちてしまった。
いけない。
普段どおりにしようって思ってたのに。
ひゅうと木枯らしのような音をさせて、私達の間を過ぎていく。
「あ、私、もう帰ろうかな」
そう言うと、静かにこちらを向いたウソツキさん。
凝視するその視線の鋭さに私の心臓は鈍く音を立て、絡まる視線を外せない。
「なんで? 早くない?」
「……なんとなく」
立ちあがろうとすると、ぴっと引っ張られる。
ウソツキさんが私の制服の肘のところをつまんでいた。
「なんで?」
再度、同じ質問をされる。
まっすぐ、全部見透かすような目が私を射抜く。
「…………」
すると、自分でも気付かないほど急に、ポロッと片目からしずくが落ちてしまった。
いけない。
普段どおりにしようって思ってたのに。