幸せの晴れ
確かに昔は憎んだ事もあったけど、いざ会ってみるとそんな感情は全くなかった。
少し落ち着いた私達は、テーブルを挟んで向かい合って座る。
「陽菜ちゃん、大きくなったわね…。」
母はハンカチで涙を拭きながら優しい眼差しで私を見る。
「私、もう20歳になったんだよ。」
「そうよね。
あなたを置いて家を出てしまって本当にごめんなさい。」
深々と頭を下げる母。
「もう過去の事だから。
私、今すごく幸せなの。
旦那の晴也さんと息子の晴陽です。」
「初めまして、周防晴也です。」
「ぼく、はるひ。」
晴陽はニコニコ笑顔を母に向けていた。