幸せの晴れ


「周防くん。いつも言ってるけど、私に話しかけないで。」


いつものように答えると、


「晴也(せいや)」


口を尖らせたまま、なおも私を見てくる。


「えっ?」

「だから、周防くんじゃなくて晴也って呼んでよ。」


キラキラとした笑顔。


思わずため息がもれてしまう。


晴也は、どこかの会社社長の息子らしい。


誰かがそう話しているのを耳にした事がある。


いつも周りに沢山友達がいる晴也が、

いつも1人でいて冷めている私なんかに話しかけてくるのが不思議だった。
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