幸せの晴れ
「私は1人がいいの。1人が楽なの。
だから、これ以上かかわらないで。」
すくっと立ち上がり扉に手をかけようとしたら、
反対側の手首を掴まれた。
「何よ…。ほっといてって言ってるじゃない。」
振りほどこうとするけど、
晴也は私の手首を掴んだまま放さない。
「これ、だいぶ薄くなってるね。
いつやったの?」
晴也は立ち上がりながら
掴んでいた左手首の内側を見ている。
そこにはリストカットの跡。
一目見たってわからないぐらい薄くなっているのに
晴也は気付いていた。
バッと手を振りほどき、
「あんたには関係ない。」
私は再び扉に手をかけた。