人面瘡
☆☆☆

愕然としているあたしを見て、顔はゲラゲラと声を上げて笑いはじめた。


あたしはガムテープを引っ張り出してその口にベッタリと張り付けた。


何重にも何重にも包帯を巻きつけて行く。


なんで?


昨日薬を飲ませた時に死んだんじゃなかったの!?


まさか、あたしを騙したの?


女の笑い声を思い出すと、それは人を見下して嘲笑っているように感じられた。


女は右往左往しているあたしを見て楽しんでいるんだ!!


そう思い、下唇をきつく噛んだ。


怒りと恐怖で頭の中はどうにかなってしまいそうだ。


そうこうしている間に両親が仕事へ向かう音が聞こえて来た。


遠ざかっていく車の音に途端に不安になっていく。


この傷口と共に家で2人きりだなんて、とても我慢できなかった。

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