人面瘡
それから止血し、ガーゼを背中に貼ったあたしは石碑を確認していた。


やっぱり、おつねという名前がしっかりと掘られている。


「この学校が昔おつねの住んでいた家だったって証なんだろうな」


雄生は石碑を見てそう言った。


「そうなんだろうね……」


おつねの死に方を知っていた街人たちはここにもおつねの名前を残す事にしたんだ。


おつねのことを忘れないために。


少しでも、おつねの供養になるようにと。


「行こう、アズサ」


雄生に手を引かれて、あたしは山を下りたのだった。

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