人面瘡
大柄だけど、話しやすそうな人だ。


「で、話しってなにかな?」


春子のお母さんがお茶を用意してくれた時、仕切り直しにそう聞かれた。


あたしは居住まいを正し、春子のお父さんをまっすぐに見つめた。


「少し、話しにくい事になります」


「うん、なんだろう?」


「ここのご先祖様におつねさんという方はいましたか?」


あたしの質問に、春子のお父さんは表情をこわばらせた。


「その質問をしに来る人は時々いる。年に1回か、2回」


その言葉にハッとした。


そうだ。


今まででもおつねの呪いにかかった人はいるんだ。


その人たちがここまで行き着いているということだ。


「けれど、私はその度に追い返して来た」
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