人面瘡
☆☆☆

春子の家には何度かお邪魔したことがあったけれど、相変わらず立派な家だった。


大きな玄関を入ると長い廊下があり、その奥に客室がある。


あたしと雄生はそこに通された。


１２畳ほどの和室で中央には木製の大きなテーブルが鎮座している。


部屋のすぐ隣は縁側になっていて、中庭が見えるようになっている。


ひょうたんの形をした池には鯉が２匹泳いでいるのが見えた。


「やぁ。今日は私に用事があるって本当かい？」


その声に振り向くと春子の父親が立っているのが見えた。


あたしと雄生は同時に立ち上がり、お辞儀をした。


緊張で堅苦しくなっているのが自分でもわかった。


「春子の友達なんだ。そんなに固くならないで、座った座った」


ニコニコと愛想よくほほ笑む春子の父親にあたしはホッと安堵のため息を吐き出した。
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