人面瘡
「これが、生前最後の写真だ」


そう言って見せられたのは立派な着物を着たおつねの写真だった。


しゃんと背筋を伸ばし、笑顔を浮かべているおつね。


けれどその視線は少しずれていて、カメラを見ていない。


「誰かがいたんですか?」


そう聞いたのは雄生だった。


「あぁ。聞いた話では、この写真を撮った時におつねの好きな人がすぐ近くにいたらしい。その人もおつねの事を好きでいたらしくて、苦しい時でもこうやって笑っている事ができたんだ」


「そうだったんですか」


好きな人。


それがおつねの呪いの原点なのかもしれない。


殺され、好きな人と引き離された胸の悲しみは計り知れない。
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