人面瘡
ジンジンとした痛みが右膝に走り、顔を顰める。


「アズサ、大丈夫!?」


ボールを投げた子が心配して駆け寄って来た。


「全然大丈夫。ボールは当たらなかったし、あたしはボーっとしてたのが悪いんだから」


あたしは慌ててそう言った。


驚いてこけたのだって自分のせいだ。


暑さのせいとはいえ、ぼんやりしすぎていた。


「でも、膝……」


「このくらい平気だって」


そう言いながらも、右膝からは血が滲んできていた。


こけた場所に丁度小石でもあったのかもしれない。


「アズサ、保健室に行こう」


そう声をかけてくれたのは保健委員の河上沙和(カワカミ サワ)だった。


沙和は昔からあたしの友達でもある。
< 2 / 204 >

この作品をシェア

pagetop