人面瘡
☆☆☆

沙和にも早く好きな人ができればいい。


そう思いながら、休憩時間あたしは雄生と会話を楽しんでいた。


会話の内容は昔の思い出話だから、誰もあたしたちの会話に入って来ることはできない。


なんだか自分だけが特別な存在になれた気がして気分が良かった。


話題が小学校の頃の夏祭りへと切り替わった時、右ひざにかゆみを感じて視線を落とした。


新しい絆創膏は綺麗なままで、ウミが出ているような様子はない。


けれど気になったあたしは、会話を続けながら絆創膏を剥がして確認して見ることにした。


絆創膏を剥がした瞬間、違和感が胸を付いた。


「あれ?」


思わず声に出してそう言ってしまう。


「どうした?」


会話を中断した雄生が首を傾げて聞いて来た。


「なんか、傷が……」


そう呟き、雄生に傷口を見せた。


今朝よりも少し大きくなっているように見えるのは、あたしの気のせいだろうか。
< 28 / 204 >

この作品をシェア

pagetop