人面瘡
☆☆☆

それは放課後になってからだった。


沙和に何度もデートに誘えと言われていたけれど、未だにそれはできていなかった。


断られたらどうしようという不安が出てきて、どうしても踏み出せないままだった。


そんな中、あたしの前を鞄を持った雄生が通り過ぎていく。


明日は休みなのに、このままじゃ遊ぶ予定ができないままだ。


そう思うと「あの、雄生」と、気持ちより先に呼び止めていた。


「なに?」


雄生は1人足を止めてそう言った。


「あのさ……明日って……」


「明日?」


雄生が首を傾げている。


遊びに誘うくらいどうってことないはずなのに、デートとなるとなかなか言葉が出てこなかった。


ちょっと意識しすぎているのかもしれない。
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