人面瘡
「明日、なにか用事はある?」


あたしは深呼吸をして、いつもの調子でそう聞いた。


「いや、別にないけど? なに? 1人でいるのが寂しいか?」


雄生は冗談っぽくそう聞いて来た。


けれどあたしは大真面目な顔をして頷いた。


「うん。明日は両親とも仕事へ行っているから1人なんだよね」


あたしは早口にそう言った。


「そうなのか? そんなに寂しいなら一緒にどっか行くか?」


その口調は全然緊張感がなく、デートに誘っているという感覚ではなかった。


けれど、休日に1日雄生と一緒に居られると思うと、嬉しくて自然と笑顔になれた。


「うん!」


あたしは大きく頷いて、そう返事をしたのだった。
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