人面瘡
☆☆☆

強いかゆみで目が覚めた。


窓の外はまだ暗くて、家の中はとても静かだ。


あたしは手を伸ばして包帯の上から傷口をかいた。


そんなにかいてはいけないと分かっていながらも、かかずにはいられない。


それでもかゆみが消える事はなくて、あたしはついにベッドから起き上がり明かりをつけた。


こんなんじゃ眠れない。


そう思い、包帯を解いていく。


病院でもらった薬はまだ残っているから、とりあえずそれを使ってみよう。


そう思った時だった。


包帯がほどかれて露わになった傷口にあたしは悲鳴を上げそうになった。


慌てて自分の口を手で押さえて悲鳴を飲みこんだ。


そこにあったのは、手のひらほどの大きさになった凹凸だったのだ。


「なんでこんな……」


そっと触れてみると、ゴツゴツとしていた岩のように硬い。

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