人面瘡
☆☆☆

手術までの数日間は、いつまた目が開くだろうと思い不安な日々を過ごしていた。


お母さんや友達は気のせいだと言ってくれるけれど、お風呂に入る時包帯を取るのが怖くてたまらない。


顔に似た傷があるだけでも気持ちが悪いのに、それがまるで生きた人間のように目を開けたのだ。


思い出すだけで寒気が走った。


そして、待ちに待った手術当日がやってきた。


《頑張れよ!》


《行ってらっしゃい!》


旺盛や沙和からのメールを確認して院内へと足を進める。


手術を受けるのはいつも通っていた病院の奥の部屋だった。


簡単な手術のため、局部麻酔だ。


人生初めての手術に緊張が走る。


でも大丈夫。


きっと、これですべてが元通りになるんだから……。
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