極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~


「俺が訪れた時、のどかは結婚をする気はないと言っていた。それなのに、結婚すると返事をくれた。……無理をしているんじゃないのか?」


無理…….。


掛けられた言葉を反芻しながら、自分自身を見つめ直す。


生涯、結婚はしないと思っていたのは、結婚をするということが嫌だとか、自分から拒絶しているからではない。

私は、つまらない女。

そう思ってきたからだ。

いつか掛けられた言葉の呪縛が解かれず、今も尚、呪いは続いている。


「違うんです……私と一緒になっても、後悔されると、思うから、怖いんです。今の私には……仕事しかないから」

「そんなことない、と言ったところで、説得力はなさそうだな」

「え……?」

「顔にそう書いてある」


触れていた手を上から包むように握って、慶太さんは私側の口角を微かに上げる。

話も聞かず、無責任なことを言わないその優しさに胸がホッと安堵していた。

< 112 / 358 >

この作品をシェア

pagetop