極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~


でも、折れず頑なにそれを要望をする私に、渋々了承してくれた。

婚約者という期間はそれを許す。

納得はしきれていないようだったけれど、私を特別扱いしないでくれると約束してくれた。


エレベーターがビル最上階の八階へとたどり着くと、絶対誤作動は起こさないと思われるドアを手で押さえ、慶太さんが私を先に降ろしてくれる。

着いた八階フロアはグレーのグラデーションした絨毯に、真っ白な内装の明るいフロアだった。

正面にはガラス張りのミーティングルームのような部屋がある。


「初めて会うわけではないけど、そういえば紹介がまだだった。彼女は、私の秘書業務をしてくれている神原(かんばら)さんだ」


フロアを歩き始めてすぐ、慶太さんが横に控える女性を紹介してくれる。

やはり秘書だという彼女は足を止め、私に向かって頭を下げる。


「神原多恵子(たえこ)と申します。よろしくお願いします」

「柏のどかです。こちらこそ、よろしくお願いします」

< 118 / 358 >

この作品をシェア

pagetop