極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~


入って正面に伸びるエスカレーターを駆け上がり三階を目指す。

仕事中にいきなり連れ出されて来てしまったから、いつものブラックのパンツスーツ姿でホテル内を小走りする。

ホテルの客というより、スタッフ側といった出で立ちだ。

冷静な私が必死に引き留めている。

このままその場に乗り込んで、一体どうするつもりなのか。

慶太さんにお義母様、お相手の女性に、そのご両親もいるかもしれない。

そこに私が行って『お見合いは中止してください』とでも言う気なのか。

とてもじゃないけど、そんな勇気はない。

ぐるぐると葛藤を繰り返しているうち、悠太さんに教えられたレストランへとたどり着いてしまった。

入り口付近で中の様子を窺いながら躊躇っていると、「お待ち合わせでしょうか?」と黒服の男性に聞かれてしまう。

仕方なく「園咲さんに」と名前を口にすると、奥の個室だと教えてもらえ、一人店内へと足を踏み込んだ。

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