極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~


“園咲”と呼ばれた男性は、私たちのいるテーブル近くまで歩み寄るとまた頭を下げる。

そばまで来て改めて顔を見て、やっぱりあのハワイ挙式の日に私がマネキンと間違ってスーツに触れてしまった相手だと確かになった。

こんな端正な顔の人、見間違うはずもない。

でも、相手が私を覚えていることはないと思い、初対面のように「いらっしゃいませ」と頭を下げた。

そして、澄子叔母さんに「また後で」と立ち去るための声を掛ける。

テーブルに広げていたノートパソコンを抱えようとすると、「城社長、考えていただきましたか」と、彼の低くよく通る声が静かな会場に響いた。


「のどかさん、あなたもいてください」

「えっ……?」

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