【完】今日から、お前は俺のモノ
靴箱に着くと



「颯太ぁ……雛わかるよ」
と雛は俺の目を見て言った。



「えっと……何が?」






「颯太、めいちゃんの事すきでしょぉ?」



「……え?」



少し笑って、少し悲しそうに、
雛はそう言う。



「それってねっ……凄く凄く辛くてね?」



多分、雛にはバレてて
雛は俺が逃げ出すために
雛と今帰ってることも分かってる。







「でもね?雛わぁ……


それでも颯太が好きだよぉ」




雛の目には涙がキラキラと輝いていて
雛の真っ直ぐな想いが俺を動かす。


でも……


「……雛……俺は…「分かってるよ……?
でも……でも……



嫌になったら雛の所に
来ていいんだからねっ……?

雛はずっとすきだからねっ……


颯太が幸せで颯太の役に立てるなら……

雛を利用してもいいんだよっ……」





雛は本気で俺の事が好きで
俺のために犠牲になってもいいって
思ってる……




でも俺は、雛を利用して傷つけて
めいを好きにならせるなんて……




絶対しないから ーーーーー




「何言ってんだよ……っ!
利用なんてするかよっ……!」
わしゃわしゃと雛の頭を撫でる。




「雛の気持ちは受け取ったつーのっ!!
つーかだいぶ前から受け取ってるつーか?
雛の良さは前から知ってるつーの!!」



「そーだったねっ……えへへっ……」




「だから雛の想いは無駄にしねーから」




「……うんっ!!」


そう言って雛と俺は
たくさん話しながら帰った。

ーーーーーーーーーーーーーーーー


雛と出逢ったのは、去年の3月頃の事。


雛は俺らの一個上の先輩から告白されて
好きじゃないから付き合わなかった
つーだけで、



その先輩ファンから呼び出されて
5対1で戦ってる所を
たまたま俺が助けたつーだけだけど……


その瞬間、一目惚れされて
次の日に告られて……


二年になって俺と雛が同じクラスになって…
また出逢って……


でも、俺のめいへの気持ちが分かって
辛かったよな…………




ごめんな……雛。




そして、背中を押してくれてありがとう。
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