彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました
「やっぱり、最後は悲しんだね」

「そりゃそうだよ。ほんとうは彼女は二ヶ月前に転校して、君の前からいなくなってるのだからね。でもお金を使って、悲しみの感情と彼女の転校を先に先へと引き伸ばしていただけだからね」

「そうだけど………」

あと十日間しかつぼみといられないとわかっているからか、僕の声がふるえた。

僕のお金がなくなったのと引き換えに、つぼみと長くいられたことにはうれしく感じた。しかし、どれだけつぼみのことが好きだとしても、別れることが決まってるから涙が流れる。

「………別れるときがきたんだ」

「え!」

「彼女と別れる、悲しいときがきたんだ」

女神様はできるだけやさしい口調を意識して僕に言ったが、その事実が悲しかった。

「結局、どれだけお金を神社に納めて彼女と長くいても、迎える最後の気持ちは悲しんだね」

開いた口から出た僕の声は、かすかにふるえていた。

つぼみのために、僕はたった二ヶ月ちょっとで全財産を失った。お金を失った喪失感もあったが、これだけお金を使っても、つぼみは僕の前から去ってしまう、喪失感の方が辛かった。
< 151 / 209 >

この作品をシェア

pagetop