彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました
「泣いてくれるの?」

女神様が、僕の顔を見て言った。女神様にそう言われて、僕の瞳からひとすじの涙が頬を伝って流れていることに気がついた。

「そりゃ悲しいよ」

僕は、手の甲で涙をぬぐって言った。

今から二ヶ月前だろうか、僕と女神様が出会ったのは。好きな彼女の転校をなんとか引き伸ばしたいという思いで、僕が神社に一万円を納めたことが女神様との出会いだった。

「私と別れるぐらいでこんなに涙を流していたら、彼女と別れるときに涙が出なくなるよ」

女神様が口にした言葉を聞いて、つぼみと別れる十日後の未来が僕の頭の中に浮かび上がった。
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