彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました



翌日、午前六時四十分。セットした目覚まし時計がけたたましく鳴り響いて、僕は閉じていた目を開けた。

「朝か………」

むくりと布団から空を起こして、僕は枕元でうるさく鳴り響いている目覚まし時計を右手で軽く叩いて止めた。

学校行く平日に自分で起きれたのは、十六年間生きてきて今日が初めての出来事だった。

「僕の願い、ちゃんとかなっているだろうか?」

不安げな声を口から漏らしながら、僕は廊下を歩いてリビングにつながるドアを開けた。

「あら、願。おはよう」

台所で朝食の準備をしていた母親が、僕に視線を向けて驚いた顔であいさつをした。

「おはよう」

母親にあいさつしたあと、僕は窓ガラスの方に視線を移した。

大きく伸びていた雑草は一本残らず抜き取られており、窓ガラスから見える箱庭はとてもきれいだった。

「願、ちゃんと雑草抜いてくれたのね」

「い、いや………」

母親がうれしいそうな顔で僕をほめてくれたが、雑草を抜いた記憶はまったくなかった。

やっぱり昨日神社にお金を納めたおかげなのか、女神様が僕の願いを叶えてくれたらしい。
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