泥沼!? 夢見るオトメの恋愛事情【完】
「いたい、金具がいたい!」
聞いた結果が、これだった。
「何も、水筒で殴らなくても」
もう、ただの鈍器だよ、それ。
「私が、せっかく彼氏を選りすぐってだね」
「質問のしかたに悪意があったろ?」
「え、悪意? ないない」
「『このなかで、あなたがネッチョリと、まぐわりたいのは誰?』っていう、質問は悪意のかたまりでしょ」
誰が、悪意100%だ。
60しかないし。
静月ちゃんは、怒りながらも、お弁当をきれいに食べる。こういうところに、育ちの良さがでてるよね。
「ほら、静月ちゃんにも、充実した生活を送ってほしいという老婆心ですよ」
「彼氏がいなくても、私のリアルは充実してるけど? 彼氏=充実なんて、そんな古いオトメ漫画の主人公みたいな考えやめたら?」
「言葉のナイフが鋭利すぎるよっ!」
「それって、ただの無い物ねだりでしょ? どうせ、彼氏ができたらできたで、刺激が足りないとか、優しくないとか、別のものをねだりだすんだから」
「なに!? どこでスイッチ入ったの! 社会? 社会が憎いの!?」
「あと、あれ女子力。あれも腹立つ。『女はこうあるべき』って、ただのジェンダー発言。 昭和の日本的感覚をなんで掘り返すのか、進歩がないよね。 また、それに踊らされる人達も、そうだよ。 あれだけ女性差別に反対しておいて女子力は受け入れるなんて、狂ってるんじゃないの?」
「怖い、怖いよ! 各方面からの圧力が怖いよ!」
「それで、何か言いたいことは?」
静月ちゃん、怖い。
私は、内心で彼女には絶対逆らわないことを決めた。
「すみません、ありません」
「じゃあ、こちらからあと、20個ほど。まず・・・」
20っ!?
というか、終わってなかったんだ!
こうして、終わりなき静月ちゃんの社会への批判により、昼休みは、終わっていったのだった。