イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
「佳奈」
すると横をすりぬけようとした私の腕を、拓海が掴んだ。
私の二の腕を掴み引き留める。
「拓海……?」
なんだろうと見上げると、拓海は険しい表情で私のことをみつめていた。
「お前、顔が赤いけど。なんでそんな動揺してんの?」
不機嫌な声で問われ、飛び上がる。
やばい。
拓海のスーツ姿を見てときめいてました、なんてばれたら大変だ。
「べ、べつに赤くないし、動揺してないし……っ!」
ごまかそうと手の甲で頬を隠すと、腕を掴んだ指に力が籠められる。
「あいつに可愛いって言われたから?」
「は? あいつって……?」
なんのことを言ってるんだとパニックになる。
慌てすぎて、眼鏡がくもりそうなほど顔が熱くなった。
「お前の好きな男って、あいつ?」
低い声で詰め寄られ、どうしていいのかわからずに涙目になる。
真剣な表情の拓海がこわい。