イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
「拓海、なんでそんなに怒ってるの……?」
拓海の顔を見上げると、拓海もこちらを見つめかえす。
至近距離で視線がからみ、息をのむ。
こんな拓海の表情を、前にもみたことがある。
拓海の寝室のベッドの上でだ。
苛立ちを隠さない険しい視線が色っぽくて、全身が熱くなる。
「佳奈、お前……」
拓海が私のことをじっと見つめながら、わずかに顔をしかめて口ごもる。
なんだろう。
拓海の言葉の続きを知りたい、でもなぜか知るのが怖くも感じる。
不安と戸惑いでごくりと息をのんだとき、背後から声をかけられた。
「佳奈ちゃん、ちょっといい?」
その明るい声に張りつめていた空気がほどけた。
拓海が私の腕から手を放し、振り返る。
そこにいたのは、意味深な笑顔を浮かべる川口さん。
「あ、えっと、なにかありましたか?」
動揺をとりつくろうように早口で聞くと、優しくうなずかれた。