彼の甘い包囲網
形勢逆転で兄に責められた。

「おかしくない、だって約束は約束だもん」

「全くお前ら本当にワケわかんないな。
婚姻届まで書いてるくせに、音信不通になろうとしたり」

「……音信不通じゃありません」

消え入りそうなくらいの小さな声で私は呟く。

グングン私の気持ちは置いてきぼりで責められている気がする。


「もうっ、お兄ちゃんのわからず屋!」

「何がだよ?!」

迎えに来てくれた兄を睨む私。

「奏多にバレたらどうすんだよ。
お前が帰ってきたら絶対に知らせろって俺は言われてるんだぞ!」

「知らない、そんなの黙っておけばいいじゃん」

「お前、アイツの情報収集力なめてるだろ……お前に関しては半端ないんだぞ」

柊兄は心底ウンザリした顔をして言った。

「そんなわけないでしょ」

「お前が傍にいないせいでイライラが振り切れそうな犬がいるんだよ」

「犬?
パパとママは犬飼ってなかったよ?」

「あー……もう、いいわ」

何故かゲンナリした表情の兄がいた。
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