「彼」が死んだ日、「世界」が壊れた日

...7

頭の中を疑問が渦巻く。
そのせいで正常に脳が動かない。

思わず目線が下にいった。
わたしは熱を発するアスファルトを見つめながら、小さな声で尋ねた。
いや、尋ねたというよりは呟いたというほうが正しいのかもしれない。


「……なんで、そのこと」
「さっきそこでセールスマンみたいなおっちゃんが教えてくれたんだ。俺は今日死んで、だけどそれをさっきの少女が悔やんだから、未来からやってきて、俺を助けようとしたって。よく分からない説明だったけど、その説明ならさっきのお前の行動も頷けるなって思って」


えへへ、と照れたように御崎がはにかんだ。

ああ、御崎は事実を知っているんだ。
わたしを過去に飛ばしてくれたあの人もここに来ていて、それで御崎に説明しちゃったんだ。
なぜかは分からないけれど、その人がものすごく憎らしかった。

だって、なにも知らずにいた方が、御崎は幸せだったはず。
もし御崎が、自分のせいでわたしが死んだ、などと思ってしまったら。
きっと御崎は優しい人だから、そのことをずっと悔やんでいくのだろう。
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