俺の彼女が可愛すぎて困る。



「そういえば夏くん、ハルのこと家まで送り届けてくれたんでしょ?」



「……へ?あ、うん」



夏くんは詩乃に声をかけてきたって言っていたはずだから、夏くんが私と一緒に早退したことも知ってるんだ。



熱で朦朧としていた記憶を無理矢理掘り起こす。



そのシーンよりも鮮明に思い出せるのは、ゆっくり寝て体調が少し回復した頃のこと。



私が薬を飲むのが嫌いだからって……



病人にキスするのはよくないと思う。



とは思いつつも、夏くんと一緒に居れたあの空間がとても幸せだったと感じる。



いやいや、でもやっぱりキスはダメだよ。



「ふーん、何かあったってわけね」



「え……」



「ムッとしたりニヤニヤしたり、全部顔に出てるよ?」



「うそっ」


ペちっと頬を両手で挟んで思い出してしまったことを後悔する。



私ってそんなに顔に出やすいの?



そうして1人で恥ずかしくなっていると、廊下から数人が勢いよく走ってきた。


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