❀乱世の恋物語❀
縮まる距離
舞「ね、ねぇ!速い!ゆっくりにして!」

半兵衛「ちゃんと捕まっとけば大丈夫」

舞「そういう問題じゃないんよ!」

半兵衛「もうそろそろだ。最後は最高に飛ばすぞ!」

舞「え?!きゃっ!」

半兵衛御殿着

舞「し…死ぬかと思った…」

半兵衛「あの速さで死んでたら戦じゃ1秒で死ぬ」

舞「戦場なんて行かないから大丈夫です」

半兵衛「なんだ、つまんねーな」

家臣たち「半兵衛様!おかえりなさいませ!」

半兵衛「おう、お前らしっかりやってただろうな?」

家臣たち「もちろんですよ」

半兵衛「みな、よく聞け!」

半兵衛「こいつは豊臣家の姫君だ。仲良くしてやれ!」

舞「舞といいます…。よろしくお願いします」

家臣たち「はっ!!!」

舞(わぁ…。すごい迫力…)

半兵衛「五郎作、御殿の案内をしろ」

五郎作「かしこまりました。舞様、こちらへ」

舞「は、はい」

五郎作「こちらからご紹介しますね」

舞「ありがとうございます」

五郎作「殿と仲良くなられたのですね」

舞「仲良くっていうんですかね…。喧嘩してるだけですけど」

五郎作「こちらから見てとても仲良く見えましたよ」

舞「…ありがとうございます」

五郎作「こちらが中庭です。殿はよく悩まれた時に中庭で息抜きをしていられるんですよ」

舞「……そうなんですね」

五郎作「私たち家臣団は驚きましたよ、まさか殿が自ら姫様をお連れされるのは」

舞「そんなに女性が嫌いなんですか…」

五郎作「過去に…色々おありだったそうですよ。私には分かりませんが」

舞「毎日一緒にいると、その逆に思えてくるんですけど…。」

五郎作「それほど舞様に心開いているということですよ」

舞「心を開いてるっていうか、からかっているだけだと思います」

五郎作「それはどうでしょうか」

舞「あの、五郎作さんは半兵衛さんとどういう関係なんですか?」

五郎作「殿の従弟(いとこ)です」

舞「い、従弟……」

五郎作「幼少期から殿とは仲良くしていただいて…」

舞「確かに、なんとなく二人似てる気がする」

五郎作「誠ですか?嬉しいです」

半兵衛「五郎作ー!そろそろ戻れ!」

五郎作「はい!ただいま」

舞「五郎作さん、ありがとう」

半兵衛「舞、どうだったか?御殿は」

舞「素敵だったよ」

半兵衛「申し訳ねぇが、もう大坂城に戻るぞ」

舞「うん、わかった」

家臣たち「また遊びにいらしてくださいね!!」

舞「はい!ありがとうございました!」

半兵衛「舞」

舞「ありがとう」

半兵衛「なんだ、もう躊躇わないのか」

舞「もう半兵衛さんも慣れたんよ」

半兵衛「姫様に慣れてもらえて嬉しいな」

舞「早く、大坂城に行こう!」

半兵衛「へいへい」

舞「きゃっ!」

半兵衛「速くって言ったのは舞だぞ?」

舞「そっちの"はやい"じゃないっ!」

大坂城着

秀吉「舞、半兵衛の御殿はどうだったか?」

舞「とても楽しかったです。家臣のみなさんもいい人たちばかりで」

秀吉「それは何より。のう、半兵衛」

半兵衛「仰る通りで」

舞「秀吉様、私に仕事をください」

秀吉「ほう、それはなぜ?」

舞「ただ何もしないで一日過ぎるのがもったいなくて」

秀吉「ならば、舞には侍女の一番上の者になってもらう」

舞「はい!ありがとうございます!」

秀吉「半兵衛、城の侍女を全員集めろ」

半兵衛「はっ」

数分後

秀吉「みな、よく聞いておくれ。今日から豊臣家の姫君である舞を侍女の一番上の者にする。みな、舞を支えてやってくれ」

侍女たち「かしこまりました」

舞「一生懸命がんばります!よろしくお願いします」

秀吉「何かあればすぐにわしに相談せい。言いにくいならば半兵衛に相談しておくれ」

舞「ありがとうございます」

?「舞様、よろしくお願いします!私のことは、おみなって呼んでください!」

舞「こちらこそよろしくね!おみな」

おみな「……」(ソワソワしている)

舞「どうしたの?」

おみな「お姉さまって呼んでもいいですか…?」

舞「もちろん!その方が嬉しい!」

おみな「わぁ!やったー!ありがとうお姉さま♪」

舞「おみな、私と仲良くしてくれて嬉しいよ!」

おみな「私も嬉しいよ、お姉さま!」

?「私のことは…おきりって呼んでもください…」

舞「うん!」

こうして侍女のトップとしての生活が始まった

翌日

おみな「お姉さま!朝ですよー!」

舞「はぁい……ふわぁ」

おみな「侍女歴5年の私が侍女としての仕事を教えるから、ちゃんと聞いててくださいよ?」

舞「はいはい、よろしくね」

おみな「お姉さま、料理は出来る?」

舞「そこそこ!自信はないけど…」

おみな「ならいっか!次で最後だから頑張ってね」

舞(いいんだ……)

おみな「最後は…お姉さまが決めるの。秀吉様や家臣の皆さまがにぎやかで楽に過ごせるように考えるの。頑張ってね〜」

舞「あ、おみな……」

舞(秀吉様や半兵衛さんが、にぎやかに、楽に…)

空は赤く染まり夕日が部屋に差し込んでいた

舞(中庭にでも行こっかな…)

中庭にて

舞「はぁ…」

舞(侍女を甘く見すぎてたな…。トップとしてもっと頑張らんと)

夕日が綺麗な中庭で空を見つめ決心した―…

舞「夜になる前に城下町に行こ」

着物を作りたくて城下町に出ようとしたが…

半兵衛「舞!外へ出るな!」

舞「え…っ?」

半兵衛「戦が始まる」

舞「……戦?」

戦国時代にきて私に最大の事態が起きた
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