放課後○○倶楽部
「とりあえず、皆さん座ってくれますか? このままでは話も出来ませんからね」

 軽く威嚇して見渡すとさすがに騒々しかった部室内が静かになった。

 みんなの顔が一斉に俺を向くが構わず――
「俺は真実が知りたいんです。言っておきますが俺は女性でも手加減はしません。それはよくご存知ですよね?」
 指を鳴らして言葉を続けると、みんなは黙って首を縦に振っていた。

 俺ってどんなイメージで見られているのかいささか気になるところだが、これでスッキリする事が出来るってものだ。

「わ、悪かったって……それじゃ、会議を始めるとしますか」

 和音さんの一言で『昨晩の事件は誰が一番悪いのか』という微妙な議題で会議が始まった。


 昨日は何も聞き出す事が出来ず、今日こうして集まってもらったのは状況説明をしてもらうためだった。

 全ては副生徒会長の『翔様と一緒にいたい』と『翔様を覗き疑惑をなすり付けた犯人に制裁をする』というもので、それに色々な思惑を巡らす連中が次々と加担していき、結果的にはこんな大掛かりな事になってしまったと言う事だった。

 そして俺達が閉じ込められていたマンションは全室をトリックルームに改造され、普通では脱出が出来ない一つの巨大な監獄として作り変えれ、そこに俺と律子ちゃん、和音さんの三人は睡眠薬を飲まされて放り込まれたわけだ。

 他の部屋には色々な事情(詳しくは副生徒会長の私情が激し過ぎて言えない)で捕まった生徒が問答無用に押し込んでいたみたいで、まったくもって容赦がないワガママお嬢様のお遊びである。

「まったく迷惑な話だな。で……なんでコハルが加担していたのかな?」
「別に好きでやったわけじゃないよ。ただ……トモ兄ちゃんが会いに来ないから」

 拗ねたような声で俺を見るコハルが「入学して一度も来てくれないし」と呟いているが、それくらいでこんな事をするなよって話だ。

「それにママッキーさんまで関わっているとは……勘弁して欲しかった」
「あの人は嬉しそうに部屋を改造してたからね。『トモキンはこの謎が分かるかな』って鼻歌を歌いながらしてたから」

 それは容易に想像がつくから嫌なんだけど。
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