放課後○○倶楽部
「何をしようとしてますか……」
「え、いや。ちょっとした探検に出掛けようかと」
「そこは色とりどりで綺麗なんでしょうね」
「それはもう。ピンクや白、たまに黒とか紫があるけど、興奮する秘境の旅なん……」

 拳を握って力説する変態部長だったけど、うしろで何か感じたらしく”僕、やっちゃった?”的な顔をしていた。


 ……さようなら。


 天に召します我等が何とかに祈りを捧げて目を閉じた瞬間、耳にこびりつく部長の悲鳴が何と哀れだった事か。まあ、自業自得なので土壌の余地はまったくないけど。

「ふう……成敗完了」
「ったく、スケベ面して私を見ないで欲しい」

 静かになったのでゆっくりと目を開けていくと、仁王立ちの和音さんとコハルが足元で虫の息の部長を見下ろしていた。かわいそうなくらいにボロボロな部長に駆け寄って「私を一人にしないでください」と芝居ががった言い回しをしている副生徒会長と、いつの間にか俺の横に立っていた律子ちゃんが怯えた様子で俺の制服を引っ張っていた。

「こらっ、律子! 何勝手な事をしてんのよっ」
「な、何も、きゃっ」
「トモ兄ちゃんに近づくな、触るな、話し掛けるなっ」

 無理やり俺から律子ちゃんを引き剥がしていくコハルは感情剥き出しで俺の腕を掴み、律子ちゃんに向かって舌を出していた。


 ……子供だ。


 昨日はよく分からなかったがどうやらコハルは随分と感情表現が激しくなっていた。ただ、その表現の仕方が子供っぽくて乱暴なのは幼少期より続けられた英才教育の負の部分かも知れないな。
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