放課後○○倶楽部
「演劇部ですか? コスプレ同好会ですか?」
「ううん。オバケ屋敷研究会だよ」

 俺の聞きたい事をすぐに理解してくれる部長は好きだが、本当にどんな部活でもある学園だよ。しかし、オバケ屋敷研究会で何故に玉子なのだろうか? 見た目はオバケに見えない事はないのだけど、まるっきり恐怖を煽るものは感じない。

 俺なりにこの格好を解釈をするとしたら、冷蔵庫から取り出すときに落とされて割られてしまい、黄身が崩れて目玉焼きになれずに卵焼きになってしまった玉子が「目玉焼きになりたかったよ」と、無念を残して食べられてしまい、その結果化けて出てくるようになったちょっと悲しいお話なんだろう。

 まあ、俺の勝手な解釈なのでまったく意味がないのだけど。

「でも、この格好って何だろうね」

 しかも何も分からないで着ているこの人には頭が下がる思いだ。それにしても知り合って二年目になるが行動パターンがさっぱり分からない。

「ところで、智美ちゃん」
「何でしょうか?」
「僕達ってかなり目立ってるよね?」

 痛い視線が廻りから浴びているが放課後なのでその数は少ない。

 まだ授業が終わって一時間ほどしか経っていないので、教室や廊下で友達と喋っている生徒達もいるわけだ。そんなところに、こんなコスプレ野郎は場違いに目立つ。しかし、玉子のオバケはそんな事は関係なく女子生徒に手を振って黄色い歓声を受け、俺は男子生徒から携帯のシャッター音を数え切れないほど受けていた。


 ……ウザイ。


 徐々に集まってくるゾンビのような集団をなぎ倒して行きたい気分だが、さすがにこの格好では動き難い。
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