放課後○○倶楽部

「…………って、まだいたんですね? 森の大熊猫さん」
「いたよ、伏峰のお兄さん。と言うか、俺はちゃんとした用事があってきたのに張本人が出て行ってしまったではないかっ」

 『森の大熊猫さん』をスルーして部室のドアを指差して憤慨している中川先輩は「俺も暇じゃないんだっ」と更に怒り出した。俺も『伏峰のお兄さん』をスルーしたがコハルが申し訳なさそうな顔をしていたので、あとで理由だけは聞いてあげるとするか。その後の対処は話次第と言う事で。

「部長に用事ですか?」
「そう、海藤に用事だったんだよ。ったく……あいつはまた問題を起こしてくれた」
「……問題、ですか」

 その言葉に俺は中川先輩の用事が想像付いたが、俺以上に過剰に反応したのは和音さんで――
「また、何かやらかしたのっ? あの馬鹿っ」
 テーブルを力いっぱい叩き、珈琲カップが宙を舞っていた。

 珈琲がテーブルの上に広がり、慌ててタオルを持って駆けて来た律子ちゃんがテーブルを拭いていたが、辺りには緊迫した空気が流れていた。たった今、似たような話をして何とか収まったと思った矢先にこれでは和音さんが怒るのも無理はないだろう。

「ああ、また送られてきたんだよ。今度は生徒会に送られてきたらしい……生徒会長が持って来たから」
「送られてきたって、また写真ですか?」

 渋い顔をして俺の言葉を否定するように首を横に振った中川先輩は制服のポケットに手を入れ――
「今度はコレだ」
 テーブルの上に置いたのは小さなメモリカードだった。

 そう言えば、カレーパンを食べた犯人……誰だったのか分からないままだけど、今はどうでもいい事になってしまった気がする。
< 161 / 161 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:2

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

俺の名前はジョンじゃない!

総文字数/8,994

恋愛(その他)13ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
幼なじみの美咲は犬が大好き。 そして子供のある出来事から俺は『ジョン』と呼ばれるようになった。 俺達の関係は特別変ではないのだが、一応は俺にも洵(じゅん)っていう立派な名前があるわけで……色々と複雑な毎日を送っているとある一日の出来事。
見えない世界でみつけたもの

総文字数/11,739

恋愛(その他)18ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
見えない世界で見つけた大切なもの。 事故で失明をした少年、雄太とその彼女、静。 ずっとそばにいたい……いて欲しい。 過去を乗り越え、本当の愛を手に入れた二人の物語。
星をつかまえて……。

総文字数/3,134

青春・友情9ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
夜空の星を見ながら妹は「星を掴まえたい」と囁く。 その言葉の意味を、妹が残してくれた思いを、僕は胸に刻んでいく。 これは、妹が旅立つ数日前の物語である。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop