放課後○○倶楽部
「…………って、まだいたんですね? 森の大熊猫さん」
「いたよ、伏峰のお兄さん。と言うか、俺はちゃんとした用事があってきたのに張本人が出て行ってしまったではないかっ」
『森の大熊猫さん』をスルーして部室のドアを指差して憤慨している中川先輩は「俺も暇じゃないんだっ」と更に怒り出した。俺も『伏峰のお兄さん』をスルーしたがコハルが申し訳なさそうな顔をしていたので、あとで理由だけは聞いてあげるとするか。その後の対処は話次第と言う事で。
「部長に用事ですか?」
「そう、海藤に用事だったんだよ。ったく……あいつはまた問題を起こしてくれた」
「……問題、ですか」
その言葉に俺は中川先輩の用事が想像付いたが、俺以上に過剰に反応したのは和音さんで――
「また、何かやらかしたのっ? あの馬鹿っ」
テーブルを力いっぱい叩き、珈琲カップが宙を舞っていた。
珈琲がテーブルの上に広がり、慌ててタオルを持って駆けて来た律子ちゃんがテーブルを拭いていたが、辺りには緊迫した空気が流れていた。たった今、似たような話をして何とか収まったと思った矢先にこれでは和音さんが怒るのも無理はないだろう。
「ああ、また送られてきたんだよ。今度は生徒会に送られてきたらしい……生徒会長が持って来たから」
「送られてきたって、また写真ですか?」
渋い顔をして俺の言葉を否定するように首を横に振った中川先輩は制服のポケットに手を入れ――
「今度はコレだ」
テーブルの上に置いたのは小さなメモリカードだった。
そう言えば、カレーパンを食べた犯人……誰だったのか分からないままだけど、今はどうでもいい事になってしまった気がする。

