俺様外科医に求婚されました



「それにしても高そうな車ですね」

「まぁ、それなりにな」


車のエンジンをかけた大和先生は、そう言うと助手席に座る私の方に目を向けた。

それから数秒、私達の視線はそのまま繋がっていた。

何なんだ…この空気は。
シーンとした空間に居た堪れなくなった私は、慌てて口を開いた。


「な、何か私の顔についてます?」


すると、プッと吹き出すように笑った大和先生は小さく首を振って。


「理香子の目に、俺が映ってるから。あぁ、今俺が理香子の視線を一人占めしてるんだなぁって。そう思ったら、なんかジッと見入ってた」


落ち着いた口調で、サラッとそんなことを口にした。

その途端、ドキドキと加速していく鼓動。



「あっ、あの…大和先生」

「何だ」

「あの、いつも…思うんですけど」

「うん」

「そういうこと言ってて、その、恥ずかしくなりませんか?」


って、恥ずかしくなっているのはこっちなんだけど。

そんなことを言われてどう答えればいいのかがわからなかった私は、カーッと熱くなっていく体温とは裏腹に、冷静な声でそう聞いた。


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