俺様外科医に求婚されました
「ところで…今日はどこに行くんですか?」
まだ行き先を聞いていなかった私は、今からどこに向かうのかが気になって諒太にそう聞いた。
「んー、そのことなんだけど。行き先を話す前に理香子に先に話さなきゃいけないことがあって」
その言葉を聞いた瞬間、すぐにあのことなのかもしれないと直感で悟った。
婚約、の二文字が頭に浮かぶ。
「とりあえず天気も良いし、どこか外でゆっくり話そう」
先に話してくれそうなら、その方がいい。
相沢先生に聞いたとも言わなくて済む。
「わかりました」
「って言ってもどこがいいかな。デートなんて久しぶりだから悩むよ」
「久しぶり…なんですか?」
「あぁ、理香子は?」
「私も…かなり久しぶりです」
そう答えると、諒太は何故か嬉しそうに笑う。
「よし、じゃあゆっくり話せてデートらしいことも出来そうなとこ行こう」
「どこですか?それ」
「ん?内緒」
そう言うと、行き先が決まったのか諒太は時折ナビを見ながら車を走らせた。
そしてたどり着いた先は。
「わぁー!気持ちいいですね」
「だろ?」
「わりと近いのに、来るのは初めてです」
「おっ、やった。理香子の初めてもらっちゃった感じ?」
目の前に紺碧の東京湾が見える、葛西臨海公園だった。