俺様外科医に求婚されました



「そんなの、言われなくてもわかってるに決まってるだろ」


諒太はそう言うと、はにかむように笑った。

母のことを、話さなきゃいけない。
それはちゃんとわかっていた。

だけど私は、諒太といる今があまりにも心地良くて。
深刻な話でこの穏やかな時の流れを変えてしまいたくないと…今のこの時間を、優先してしまった。


このままずっと続いてほしい。
こんな今が、ずっとずっと続けばいいのに。


観覧車に乗っている間、私はそんなことばかりを願って。

諒太といる幸せを、ただただ噛み締めていた。


だけどそれは…これから訪れる、嵐の前の微かな幸せだったなんて。

この時の私は、まだ気付いていなかった。


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