俺様外科医に求婚されました



女の人って、誰なんだろう。

ここで働いていることを知っている女性は、伯母さんか、もしくは小春ちゃんくらいしかいない。

でも、伯父さんの家を出てから五年。
会いに来たことなんて今まで一度もなかった。

もしかして、伯父さんに何かあった?
いや、それなら先に電話がかかってくるはずだ。

そう思ってカバンの中の携帯を確認したけれど、不在着信などは何も表示されていなかった。


病院のロビーをキョロキョロ見渡しながら、女性の姿を探し歩く。

すると、その時。


「…っ⁉︎」


ロビーの待合の椅子に座っていた女性に気がついた私は、その姿に驚いて歩いていた足が止まった。

そして、その直後だった。

女性の視線がふっとこちらに向き、私達の視線は真っ直ぐに繋がった。

どうして…。


私に気がついた彼女は、スッと立ち上がるとこちらに向かって歩いてくる。

そして、私の目の前まできた彼女はーーー。


「久しぶり」と、目を細めて微笑んだ。


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