俺様外科医に求婚されました
小野さんは、時折相槌をうちながら私の話に聞き入っていた。
賑やかな店内の雰囲気とは裏腹に、カウンターに座る私達の場所だけはとても静かだった。
そして、私が全てを話し終えると。
「…なんなの…っ…」
「えっ?」
「どうして一人で全部抱えたりしたの…」
突然隣で小野さんが泣き出した。
「ちょっ、泣かないでよ」
「……ごめん…酔っ払ってるのかな…」
小野さんはそう言うと、人目もはばからず泣き噦った。
「お、お水もらおう?すみませーん!お冷一つお願いします」
店員さんに声をかけると、運ばれてきたお冷を小野さんにそっと持たせた。
「酔っても介抱しないからね!」
「…やだ…そこは介抱してよぉ……うぅ…」
お酒に弱いのは、あの頃と変わっていないのかもしれない。
でも、そんな姿が何故か可愛いく、愛おしく思えた。