俺様外科医に求婚されました



っていうか、焦って席を立ってきたはいいけれど…ずっとこの化粧室に籠っているわけにもいかない。



「あぁ、もう…だから食事会なんて行きたくないって言ってたのに」


倉田さんたちに強引に連れて来られたとはいえ、結果的に誘いを断り切れなかった自分に今さらながら後悔している。


こんなことになるのがわかっていたなら、私は絶対に…ここに来ることはなかったのに。


あぁ!もう!どうすればいいの⁉︎

短い時間で私は散々考えた。

だけど、トイレから長く戻らないといろいろ思われたりしそうだと思った私は、重い足取りで渋々化粧室を後にした。


「大丈夫?」

「うん、ちょっと喉の調子が悪くて…むせちゃったみたい」


口元を隠しながら席に戻ると、加奈が心配そうに顔をのぞきこんできたけれど。
なるべく平常を心がけてごく自然に椅子に腰掛けた。


「じゃあ、全員揃ったわけだし、もう一回みんなで乾杯しようか」


場を仕切るのが好きなのか。
名波さんはそう言ってグラスをまた手にしている。


あぁ…やだ。こっちは乾杯してる場合じゃないんだけど。

そんなことを思いながらも空気をきちんと読んだ私は周りの雰囲気に合わせて乾杯した。


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