俺様外科医に求婚されました



幸いなことに、私は八人掛けのテーブル席の一番端、遅れてきた諒太は向かい合った反対側の一番端だった。

顔は見えるとはいえ、この中では一番遠い距離感を保てている。


そうだ。このまま前しか見ないでいよう。

もしかしたら、諒太はまだ私だと気付いていないかもしれないし、諒太がトイレに立った隙に急いで帰れば…

ひょっとしたら気付かれないままこの場から逃げ切ることができるかもしれない。


必死でそんな対策を案じていた…はずだったのに。


「もしかして、バツイチになったか?」


対角線にいる諒太から聞こえてきた声。


「それとも…旦那がいるのに刺激を求めた夜遊びか?」


そして、明らかに私に向けて言っているその言葉を聞いた途端、保っていたはずの平常心はあっという間に脆くも崩れていった。


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