俺様外科医に求婚されました


「覚えることいっぱいで疲れちゃったんじゃない?」


仕事を終えた、午後18時過ぎ。

女子更衣室の一角で、ロッカーのドアをバタンと閉めた私は斜め後ろにいた小野さんの方を振り返った。


「そうでもないですよ!小野さんこそ、私に付いて回ってたから疲れてませんか?」

「ふふっ、大丈夫大丈夫。それより、仕事は終わったんだし、そろそろ敬語もおしまいにしてよ」


小野さんは、私にそう言うとニコッと笑う。


「はい!わかりま」

「ん?」

「や…わかっ…た」

「ふふっ、それでよーし!でさぁ、急なんだけど」


ロッカーのドアを閉めた小野さんは、そう言いながら突然私の腕に絡みついた。


「えっ?な、何⁉︎」

「今からごはん行こ!」

「ごはん…ですか」

「そっ!ここからだと歩いて10分くらいなんだけど、美味しい焼肉屋さんがあるの」


えっ。そこは、もしかしてあの人と行った焼肉屋んと同じとこじゃ?


「奢りだからさ!行こう行こう!」


小野さんはそう言うと、やや強引に私の腕を引きながら更衣室をあとにした。


「でね、口うるさいのが山口さんって人で、その山口さんがさ」


病院を出てからもずっと。
小野さんは変わらず腕と腕を絡ませたまま、なんだかんだと話し続けていて。

女の子っぽい女の子だなぁ、なんて思っているうちに私達はお店に到着した。


やはりお店は、大和諒太に連れていったもらった焼肉屋と同じ店だった。


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