俺様外科医に求婚されました



「本当はすぐに渡すべきだったんだろうけど、すまない」

「いえ…でも、どうして二ヶ月も経った今になんですか?」


私がそう聞くと、大和先生は背筋をスッと伸ばしてから咳払いをした。


「それは…あれだ。傷心の看護助手の傷口を、あの時はあれ以上、広げたくなかったから…かな」


…えっ?


「ギリギリまで渡そうか悩んだけど、ロビーで泣き腫らしたキミの目を見たら、咄嗟に手紙はウソだって言ってしまってた」


真っ直ぐな瞳と、珍しく真面目なトーンの声に私は思わず息を飲んだ。

何なんだろう…。
胸の奥が、きゅうっと締め付けられる。


「だってほら。あの日に渡していたら、すぐにその日に読んで、キミはまたきっと泣いてただろう」


向き合ったまま、スッと動く右手。


「だから、少し待ってからにしようって」


その手がそっと、私の頭に触れる。


「でも、時間が過ぎた今なら落ち着いて見ることができるはずだ。泣かずに、ちゃんとな」


そして私を見下ろしたまま、その手はポンポン…と、優しく頭を撫でてきた。


鼓動が、速くなっていく。

心臓の音が、ドキドキしているのが自分でわかる。


あの時ウソをついたのは、私のため?


だとしたら私は…


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