自由帳【番外編やおまけたち】
ーーパチン。
「いたっ」
「飲酒運転になるのはマズいから。ーー助かったな、今日のところは」
デコピンひとつ、お見舞いされただけ。
ムッとして額を押さえた私に、思いのほか優しい声がかかる。
「水、ちゃんと飲めよ。それと……もう少し、警戒心を持つように」
「……ハイ」
「じゃ、おやすみ。またな」
そこまでアルコールは残っていないと思っていたのに、車から降りると足ががくがくと震えて上手く歩けない。
何とか自分の部屋までたどり着いてドアを閉めた途端、力が抜けてへたり込んでしまった。
「き、聞けちゃった……電話番号」
普段の自分だったら変なプライドが邪魔をして、今日のような行動は出来なかったはずだ。いつまでも意地を張って、突っぱねて、結局ずっと平行線のまま。
これまでずっとそうしてきたように。
腕に引っかけていたビニール袋が、動きに合わせてカサカサと揺れる。コンビニで売っているよくある水なのに、特別な品みたいに輝いて見えた。
「ふふ。私たち〝お互いが会いたいと思えばすぐ会える〟関係なんだ」
ーーもしかしたら、佐々岡さんも同じだったのかもしれない。